家事の分担とテクニシャン

世の中共働き夫婦が増えてきて、家事は夫婦で分担する家庭が増えてるって話。

でも、夫がそれまであまりやってなかった家事のいくつかを担当すると、
妻がその「出来」に不満を持ったりその不満をぶつけたり喧嘩に発展したりすることも少なくないって話。

うちも家事は夫婦で分担していて、
たとえば料理は私が、洗濯は夫がやるんだけど、
夫は私の料理に文句を言うことはまったくない。
でも、私は…、
夫の洗濯のやり方に文句を言ったことは何度か(何度も)あるなぁ。

しかし、なんか最近、夫の家事に文句言いたくなることが減ってきたなぁと気づいた。

なんでだろう、と考えてみた。

夫の家事の腕が上がったこともあるかも。(上から目線)(実は夫の方が多く家事を分担してるかもしれないのに。結局のところ家事の仕事量を比べるのは難しい)
あとは日々が忙しくて、家事でもめるのが非効率だということを経験的に学んだっていうのもある。

けどそれより思いを馳せるのは、職場での仕事分担のやり方が、家事の分担に良い影響を与えてるなってこと!

私の仕事は大学で自然科学の研究をすること。大学の研究室だから、教授以外は私のように博士号のある研究員(いわゆるポスドク)、大学生や大学院生のほかに、実験の技術的なことを補佐するいわゆる「テクニシャン」と呼ばれる人がいる。
テクニシャンの仕事は、与えられた時間と裁量に照らして可能な範囲でラボのみんなの実験をサポートすること。
で、今の私の職場では、とある実験を毎週テクニシャンの方が代わりにやってくれるて、それがとても助かっている。
しかし、その人は私だけじゃなくたくさんの研究員から実験を請け負っているから、「依頼は毎週ひとり○個まで」と、引き受ける仕事量に制限を設けているの。そりゃ全員のぶんを制限なく引き受けていたらやってけないからね。さらには、そのテクニシャンによる実験は一回ポッキリ。もし何かしらの不運で(テクニシャンのミスを除いて。実験というのは原因不明の失敗がつきものだ…)、その一回ぶんの実験の結果が失敗したり不明瞭だったりしても、やり直しはしません。やり直したい場合は自分でやってください。というわけ。
さて、こんなわけで、もしもそのテクニシャンの指定よりたくさん実験をしなきゃいけない場合や、どうしても失敗するわけには行かない、何度もやり直したい、という場合には、その人にお願いする代わり、自分でやらなきゃいけない。

この状況、便利と受け取るか、不便と受け取るか、客観的にはどっちもありえるなあと思う。でも、ほんの少しでも実験手伝ってもらった方が助かるし、そのためには良好な関係でいた方がいいし、それにこのテクニシャンの方のこと個人的にわりと仲良いし、
てことを総合して(?)、やってもらって助かるなあ、ありがたいなぁと思うんだよね。
だから、時にこの方のキャパを越えた仕事が発生した場合は、やってもらえない分は、黙って自力で対応する。それはそのテクニシャンの方の仕事てはなくて、私自身の仕事なの。
結果、この方との関係は良好だし、感謝しかない。

で、これって、そんなテクニシャンとの仕事分担のあり方って、夫婦での家事分担にも理想なんじゃないかナーって思い始めた。

たとえば、夫が洗濯をする際、前は、干すとき服のシワを伸ばしてほしいとか、これは乾燥機にかけないでほしいとか、かつて何度か(何度も)文句を言っていた。(後注※)

けどね。家族みんなの洗濯を請け負う夫に、
たとえば、
これは手荒いモードで洗わないといけないだとか、乾燥するときシワを伸ばさないと困るだとか、
こまかい注文をつけるのはオーバーワークだ。
それは夫の仕事ではない。自分でやってください。てこと。
同僚の仕事を尊重するように。
そんなことを思い始め、今は自分のも夫のも子供のも含めて、シワ対策が必要なものは黙って私が回収し別に対処することにした(シワが気になるのって家族で私だけなんだもん。私の服だけじゃなく夫のも子供のも気になる。)。大事なことは、不思議にも、この状況に対して、「夫がやってくれない」などと不満な気持ちは一ミリも感じないの。
職場で同僚に仕事をお願いする感覚に意識が変わったからだと思う。

まとめると、家事の現場は働きやすい職場作りと同じ感覚でやるのがうまくいく、ってことなんだなぁー!

(※私の再三の文句によって夫が仕事内容を広げた事実は否めない。干す際の多少のシワ伸ばしや、乾燥機前の仕分けなどをしてくれるようになった。家事の仕事内容を広げたとしても収入はゼロだ。感謝するしかない)